シックハウス症候群とは

1980年以降、患者数が急増したことを受けて厚生労働省は有識者による「室内空気質健康影響研究会」を開催しました。
その中でシックハウス症候群は、医学的に確立した単一の疾病というよりも「居住者の健康を維持するという観点から、問題のある住宅において見られる健康障害の総称」とすることが妥当とされたようです。
イスのイメージ近年、建材の低コスト化や建築作業の効率化のために、化学物質が建材や家具材に多用される様になりました。
更に建築物の高気密化、冷暖房の普及などで、換気不足のために化学物質が室内に貯まりやすくなったことがシックハウス症候群が増えた大きな原因とされています。
新築時が化学物質が一番揮発されやすく、また生活環境が変わる時期により精神的にストレスがかかっている場合に健康被害が悪化しやすいそうです。
また建材だけでなく、芳香剤やヘアスプレーにも化学物質は含まれている上、化学物質ではないカビやダニの死骸などのハウスダストも原因になるようです。

症状としては、目がチカチカする、喉が痛む、めまいや吐き気、頭痛などが多いようですが、これも決まった症状ではなく、漫然とした体の不調として表れる場合もあり診断が難しいようです。
しかし、それでも国内のシックハウス症候群の患者数は100万人を超えており、潜在患者数になると1000万人以上いるとさえ言われています。
しかも他のアレルギー性鼻炎や喘息、アトピー性皮膚炎などの健康障害を誘発させたり、悪化させるとも言われており、深刻な問題となっています。

厚生労働省はガイドラインで、化学物質のうち健康に被害を及ぼす恐れのある13種類の揮発性有機化合物について、濃度指針値を設けています。
また、国土交通省は、建築基準法を改正し、化学物質を使った建材の制限や換気設備の義務付けなどを定めました。
文部科学省も、学校環境衛生の基準を設けたり、全国の地方自治体や保健所などでは相談窓口が設けられるなど、国や自治体でも対策に力を注いでいるようです。